ワクチンに関しては連日、多くの報道やネット上での情報の拡散が続いていますが、正確な情報に基づき落ち着いて行動することが何より重要です。
そこで、政府や県が発表するデータに基づいて、新型コロナワクチンに関する現状を報告いたします。
まず、千葉県では、オリンピック・パラリンピック期間中の新型コロナウイルス感染症の感染動向の推移を評価するため、7月15日に感染症の専門家を招いて、『新型コロナウイルス感染症の感染動向の推移を評価する打合せ会(第1回)』が開催されました。こちらには様々なデータが添付されて県のホームページに掲載されていますので、是非ご参照ください。
【① 9月末までに希望者分のワクチンを確保】
日本では現在、ファイザー社製とモデルナ社製のワクチンを使用しています。
ファイザー社製ワクチンは、6月までに1億回分が日本に到着しました。さらに7~9月にかけて、7,000万回分が到着予定で、合計すると1億7,000万回分となります。
一方、モデルナ社製ワクチンは、 6月までに1,370万回分が到着しました。今後、7~9月にかけて、3,630万回分が到着予定で、合計すると5,000万回分となります。
この2社分を足すと、9月末までに2億2千万回分=1億1千万人分のワクチンとなります。したがって11月までには、希望者全員が必ず接種できますので、まずはご安心ください。
現在、多くの自治体で接種対象年齢を随時拡げているため、一時的に接種予約に空きがない状況も発生しています。しかしながら、大枠で見れば年初に考えられていた接種スケジュールに比べ、見通しはかなり明るくなっている、といえる状況です。
【② ワクチン接種は一日140万回のハイスピードで行われている】
ワクチン接種は現在、1日に約140万回接種されています。
内訳は、ファイザー社製が120万回、モデルナ社製が20万回です。
これは、当初の想定をはるかに超える、奇跡的とも言えるハイスピードです。
今年2月、政府が「1日100万回を目指す」と発表した時には、混乱もありました。しかし、ここまでの接種回数を実現できるようなった理由はひとえに、前代未聞の大プロジェクトに、手探りながらも懸命に取り組んでくださっている自治体や医療従事者の皆さまのご尽力によるものであり、心から感謝申し上げます。
現在、140万回/1日の自治体による接種能力に比べて、今後のワクチンの供給が間に合わない状況が問題視されています。
そのため、政府からは理想として120万回/1日となるよう都道府県には調整が求められていますが、これまでワクチンの接種記録システムが都道府県には権限がなく、見ることができなかったのでアナログでの対応に苦慮していました。
そこで、7月16日以降に都道府県にも権限が付与されることとなりましたので、今後は県内の市町村ごとのワクチンの確保や接種スピード適正化にむけた調整の促進が期待されます。
ちなみに、県の担当課に確認したところ、最近では本県も140万回/1日のペースで進んでいること、また、これまでにも県内の市町村間のワクチン確保の調整役を務めているので、特段遅れているところは無く、今後も接種ペースの適正化を調整していくとのことでした。
いずれにしても足元では、配送の混乱が若干見られ、接種予約に遅れが生じていますが、政府と地元自治体の架け橋となり、さらに緊密なコミュニケーションをとりながら、1日も早く、希望する全ての皆さんにお届けしたいと決意しています。
【③ 既にワクチンの効果はコロナ関連の統計に明確に表れている】
現在千葉県の65歳以上では、82.45%の方が1回目の接種を完了。 2回目も58.21%の方が完了しています。
1回目の接種増加率が直近では鈍化しているところから、希望者に行き渡り始めたことが伺えます。
そして3週間後に2回目接種を設定している自治体が多いことから、7月末には希望する高齢者の2回接種が終わる見通しが立っております。
早いところでは、すでに64歳以下の接種を始める自治体も出てきています。
全人口割合で考えると、1回目接種完了が27.09%、2回目接種完了は16.54%です。(※注7月20日現在)
この接種率の向上と共に、実は高齢者の新規陽性者数が減少しています。
千葉県でみますと、ワクチン接種が本格的に始まる前の3月1日の週には、高齢者の新規陽性者数は全体の約38.5%でした。その後、接種率が向上するにつれ比率はみるみる減少し、最近では、新規感染者数1,669人に対し163人で約9.8%と、3月に比べ4分の1程度になっています。
現在、東京を始め一都三県では陽性者数がリバウンドの傾向にあり予断は許しませんが、高齢者に対するワクチン接種の効果が表れていると言えるでしょう。
さらにもう一つのメリットである、重症化予防効果も表れていて、7月20日時点で、重症者数は18人。ピークであった5月24日の27人からは減少傾向にあります。
重症者数が抑えられれば医療体制への負担が和らぐため、非常に重要な傾向ととらえています。
【④ 今後について】
今後の懸念材料の一つに、若い世代の方々にワクチン接種をどう広めていくか、という点があります。
各種報道によれば、若い世代では、ワクチン接種を希望する方が比較的少ないとの情報もあります。我が家の子どもたちもSNSのデマ情報をみて、接種したくないと言っています。
もちろん、若年世代は新型コロナによる重症化リスクが高齢者に比べ少ないため、ある意味当然とも言えますが、若年層の接種率も一定程度ないと日本全体で社会活動を全面的に再開する事はできません。さらに若年層の皆さんでも、感染後に重い後遺症で苦しんでいらっしゃる方が多くいます。
したがって副反応に関するデマを払拭し、差別にも配慮しながらワクチン接種促進へのインセンティブを作っていくことが重要です。
これまで以上に、ワクチン接種の体制強化に、全力で取り組んでまいります。
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