プラスチックは非常に便利な素材です。成形しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、あらゆる分野で私たちの生活に貢献し、今では生活になくてはならないあたりまえの存在になっています。
しかし一方で、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ、地球温暖化などの課題もあります。私たちは、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があります。
このような状況を踏まえ、令和2年7月1日より、全国でプラスチック製買物袋、いわゆるレジ袋の有料化を行うこととなりました。これは、普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。
大手スーパーでは先行して、1枚当たり2~5円程度で 有料化されていましたが、7月からはプラ製のレジ袋を扱うすべての小売業者で有料化が義務付けられましたので、コンビニでも3~5円の有料になるそうです。
私自身も2~3日に一回はコンビニで買い物をしていますので、妻が持ち歩きに便利な小さいマイ・エコバッグを用意してくれました。
ただし、全てのプラ製レジ袋が有料の対象になるわけではありません。
有料化の対象となるのは、購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製買物袋です。
厚手のもので繰り返し使えることで過剰な使用を抑制できることや、環境に配慮した素材で作られたものなど環境性能が認められ、その旨の表示がある上記3点は対象外となります。
こうしたことから、紙袋や環境配慮型プラ袋に切り替えて無料配布するなど、衛生面や客離れに配慮して、各社で様々な対応が進められているとの報道を目にします。
一般的なプラスチックは自然界で分解されにくく、海の生き物に飲み込まれたり巻き付くなど、生態系への悪影響が懸念されたり、30年後の2050年には海のプラゴミは魚の重量を上回ると試算されていることなどから、近年では海洋プラゴミへの関心も徐々に高まっております。
そこで、国内の廃プラスチック総排出量を見ますと、直近の2018年では、年間819万tにのぼっています。これを実感しやすく国民一人当たり1日の排出量を表すため、単純計算で人口割しますと、
819万t÷1億2000万人÷365日≒203g
203gをモノで例えますと、マンガ単行本1冊/ワイシャツ1枚分を国民全員が毎日捨てていることになり、これを多いと捉えるかどうかは個々人の判断になりますが、注目すべきは、この総廃プラ量のうち、レジ袋はわずか2%(約20万t)にしか過ぎないということです。
むしろ国内での課題は、廃プラのリサイクル率23%(208万t)をどう引き上げるのか?にありますが、リサイクルは費用と手間がかかるので、なかなか思うようには進んできませんでした。
レジ袋の有料化は廃プラ削減のほんの一歩に過ぎないかもしれません。ですが、これをきっかけにした国民意識の向上と理解が、企業や社会全体を大きく動かす原動力になり得ますので、 折に触れて働きかけていきたいと思います。
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